公式ページに、「スズキストローク船外機 載せ換えガイド」というコーナーがあり、ありがたいことにたくさんのアクセスを頂いています。

このページは、今まで弊社が行ったスズキ船外機の取付事例を一覧にしたものなのですが、今日は「ではなぜ、その馬力を選択したのか?」について、少し書いてみようと思います。

事例1 ボストンホエラー21アウトレージ

21ftの、あえて言うなら小型に近い艇体のセンターコンソール艇。

この艇をお納めした当時、まだ4ストローク船外機が普及し始めた初期の頃で、スズキは最大馬力が140HP、ヤマハがようやく225HPを発売した頃でした。

当時の国産パッケージボートの21ftといえば、4ストローク50HPを搭載したボートが人気で、21ftのボートに搭載する馬力は、まあそんなものだろう、というのが大方の見解だったと思います。

この21アウトレージは、最小搭載馬力が135HP、最大が225HPとなっており、お客様とも相談したうえで「スズキの船外機で最大馬力の物を」ということで、DF140 を搭載しました。

子のエンジンはDF90/115 をベースにボアアップしたモデルで、現行のDF140 Aとはエンジンブロックがまったく違うものであることをご承知おきください

さて、搭載して走ってみてどうだったかというと・・・

ぜんぜん走ってくれません!

プロペラを何枚も交換してテストしてみても、ボストンホエラーが出せるスピードに達しないのです。

出足も悪く、プレーニング姿勢に入るのも遅く、エンジンを載せ換えるという結論に達しました。

今から考えると、よくお客様がご納得くださったものだと冷や汗をかく思いです。

結果として、当時最高馬力だったヤマハF225Aへ換装しました。

ですが、それでも艇体がもっている高いポテンシャルを引き出すことが出来なかったのです。

2ストロークがまだまだ幅を利かせていた時代に設計された艇体は、爆発力のある2スト高馬力船外機向きだったのかもしれません。

その後、2代目のオーナー様の時にスズキDF300に換装し、ようやくそこそこの高速を出すことができました。

その後、国産船外機艇でも21ft艇に140HPや115HPなど高馬力化が進んでいったのは、みなさまご存知の通りです。

適合馬力は艇長だけじゃない

昨年施工した、ヤマハUF25のエンジン換装。

VOLVO AD31 ディーゼル130PSから、スズキDF200ATへの乗せ換えでした。

重いディーゼルエンジンから軽量の船外機への換装、トランサムの外側にエンジンマウント用のトランサムブラケットを取り付けても、ディーゼル搭載時の重量には到底及びません。

エンジンルームに重石(土嚢)を入れて、前後のバランスをとりました。

結果、ディーゼル搭載時の出足よりかなり軽快な走りとなりました。

おなじDF200 Aシリーズへの換装で走りが改善した例として、ボストンホエラー270アウトレージがあります。

換装前は、ヤマハF225Aの二基掛けでした。

F225Aは重量のあるV6船外機。

走り出しのトルクが、ヤマハは低めの為、エンジンの重量と相まってバウが極端に上がってしまうハンプの状態が大きく、回転数も4000回転を超えないとプレーニングに入ってくれないという、やや走りにくいマッチングでした。

2基あったエンジンのうち1基が大きなトラブルとなってしまい、2000時間前後使用していたため、修理するより交換を、ということになり、さてでは、度の船外機を選べばよいか?

その時良い参考事例となったのが、スズキマリンX24の試乗経験でした。

X24も重い船で、国産艇ながら標準搭載馬力はDF250。

高馬力のパワーに耐えられる船体ですが、DF200 Aの発売時にX24に搭載されてその試乗をした時に、DF250 とは全く違う走り方に驚愕したことがありました。

とにかくハンプがなく、プレーニングまでがスムースなのです。

50HP落ちてるのに、なにこのストレスのない走りは?

そこで、V6を2基にするより、トップスピードは落ちるかもしれないけど、ハンプがなくプレーニングまでがスムースになる軽量直4船外機をお勧めしました。

結果的に大正解でした。

今まで走りだしは運転席からバウデッキが良く見えたのに、海面が見える!波に対するアクセルワークもスムース。

エンジンによって、これほども走りがかわってしまうのかという感動は今でも忘れられません。

尚、プロペラピッチは、18.5を選択しており、燃費、スピードともベストマッチかと思います。

多くの事例から3艇ご紹介しましたが、その他にもいろいろなケースを経験してきました。

まだまだこれからも、考え込まなければならないケースや、予想がピタリと的中するケースなどいろいろあると思います。

ご自身のボートの適合馬力選びに悩んでおられる方、ぜひお気軽にご相談ください。