ボストンホエラーってどんなブランド?
二つに切っても沈まない、完全不沈構造を有した小型艇
ボストンホエラーが理想的で完璧なボートだというわけではありません。
同じ長さのボートに比べ、大型の船外機が必要で、日本の釣りに便利なイケスの装備もありません。(一部ライブウエルが装備可能)
センターコンソール艇では、しぶきや風など、キャビン艇に無い過酷さがあるのも事実です。
ボストンホエラーに無い、もっといいところがあるメーカーもたくさんあります。
「ブランドだから」「有名だから」「かっこいい」
もちろんそれも大切なことだと思います。
ブランドになったのも有名になったのも、かっこいいのも、そうしようとして作ったのではなく、安全で安心で、性能のいいボートを作り続けることで、ブランドになり有名になり、かっこよく美しいボートが出来上がったのだと思っています。
ボストンホエラーの歴史
1958年、アメリカ・ボストンボートショーにて、人々がかつて目にしたことのない、13フィートの小型艇が注目を集めました。
小型ながら、人々に与えた強烈なインパクト、それが 創設者 Richard T. Fisherが創り出したボストンホエラーの不沈伝説の始まりでした。
1961年、「ライフ」誌に、「2つに切っても沈まずに走るボストンホエラーに乗るフィッシャー」が紹介され、一段と注目を集めることになったのです。
2つに切っても沈まないボート、これ以上の安心があるでしょうか?
ボストンホエラーの構造
ボストンホエラーにお乗りになると、その他のボートが波に当たる時に聞こえる音と、違う音がすることにお気づきになると思います。
これは、ボストン独自の特許による構造「Unibond Construction」によるものです。
その建造は、まずインナーとアウターのハルを同時に製作することから始まります。2層構造のハルの間には、特殊発泡体が流し込まれ、隙間無く充填されます。
強い圧力の中で流し込まれた発泡体は,熱が生じ,科学的に2層構造のハルとデッキを接合させます。
発泡体を含めた3層構造により、浮力のみならず強度も兼ね備えた艇体が形作られるのです。
完成した艇体は、ピアノ調律士なみの聴力を持つエンジニアによって、発泡体が偏り無く充填されているかなど、さまざまな検査を受けて出荷されます。
これら、特殊な構造や妥協を許さないテストなどのため、ボストンホエラーは他のボートに比べ価格も高くなっているのです。
2つにカットした断面には、特殊発泡体が隙間無く充填されています。
ボストンホエラーならではの製造工程
ボストンホエラーの製造工程は、一般的なボートの行程とはまったく違います。
近年では、ウレタンフォームを充填した艇が増えてきているのはご存じのとおりだと思います。
しかし、ボストンホエラーの発泡ウレタンのクオリティと充填方法は、他メーカーのそれとは大きく違っています。
アウターハルとインナーハルを成型し、枠に収めてしっかりと固定された後、内部に発泡ウレタンを強制的に充填させます。
化学変化を起こしたウレタンは熱を帯び内部で大きく膨張します。
アウター&インナーハル、そしてウレタンがしっかりと艇体内部で接着されて一体化し、モノコック構造のような頑強な艇体を作り上げるのです。
写真はボストンホエラーカタログ2003年モデルより抜粋
レベルフローテーションと完全不沈構造
ボストンホエラーの完全不沈構造であるもうひとつの大きな理由に、「レベルフローテーション」があります。
一般的なボートは、波やうねりによって傾き、復元可能な角度を超えると転覆しますが、ボストンホエラーはみずから「水平を保とう」とする構造になっています。
モントークやダントレスシリーズはもとより、アウトレージ、コンクエストシリーズのような走行性能を重視したモデルであっても、大きく張り出したチャインと独特なフォルムのハルが特徴的ですが、単なるデザインではありません。
横波を受けてもチャインが波に刺さることによって、それ以上に傾かない構造になっています。
豊かな浮力と確かな復元性によって、波がボートの下を抜けていくように感じるのです。
写真のように、艇体に水を注入しても水平を保っている姿勢が、ボストンホエラーの安全性と安定性を物語っています。それぞれのモデルには、スワンプドキャパシティという項目があります。
これは、最大搭載馬力で最大搭載積載の人、フィッシングギヤなどを搭載した状態のボートに、どこまで注水してボートが支えられるかの限度量です。
170モントークで1,542kg、220アウトレージで2,268kgが最大荷重容量となります。
二つに切っても沈まない、浸水しても転覆しないという2つの大きな性能が、ボストンホエラーの最大の特徴です。
そして、もう一つが波のさばき方です。
波を切らずに、波の上を走るボートのため、着水時にあがる波しぶきは深いVハルの船に比べて少ないのですが、それに加え上に上がろうとするしぶきを左右にさばくことで、デッキに打ち込むスプレーが少なくなるのです。
風向きによっては、ほとんどドライの状態を保つことが出来るので、センターコンソール艇でも飛沫を浴びにくい構造になっています。
荒れても安心して帰って来られるボート、大切な家族や友人が安心して同乗できるボートを選ぶなら、ボストンホエラーをお選びいただけば間違いのないフィッシングライフを送れることでしょう。